岡本和彦様への謝辞

京都宮廷文化研究所顧問
京都産業大学名誉教授 所 功

岡本和彦様の訃報に接しまして、心よりお悔み申し上げます。

岡本様には、井筒與兵衛氏の発案により十余年前、井筒企画に「京都宮廷文化研究所」が設立された当初から、多々ご指導を賜って参りました。

平安以来の宮廷文化に関心をもつ私共は、文字史料しか判りませんでしたが、衣紋道の奥義を究められ、後進を懇切に指導して来られた岡本様から、具体的な御説明を承り見事な実技を間近かに見せて頂きまして、段々と理解を深めることができました その学恩に心から感謝申し上げます。

宮内庁の京都事務所で長らく衣紋道の責任者を務められた岡本様は、伊勢神宮の式年遷宮や賀茂・石清水・春日大社の三勅祭で、勅使の着装に指導的な役割を果たされ、退職後も令和の御大礼において高御座・御帳台の移動・設置を支援する重責を担われました。その御功績は東京の専門家たちも、高く評価し尊敬していると聞いております。

しかも 岡本様はいつも明るく、門外漢の私共が「京都の御大礼」特別展など企画しました時なども 快く相談に乗りお導き下さいました。その御人柄にも信頼し敬服して参りました。今あらためて感謝の誠を捧げたいと存じます。

幽冥境を異にしましたが これからも斯界の後進や研究者を見護って頂きたいと念じながら、遙かにご冥福をお祈り申し上げます。

令和7年(2025)10月27日