岡本和彦様の知識を後世に
京都宮廷文化研究所代表理事
京都産業大学教授 久禮旦雄
このたび他界された岡本和彦様は御所・離宮を管理する宮内庁京都事務所首席主殿長を務め、その後 (株)井筒企画に所属し、「風俗博物館」の企画運営などに関わられてきました。
私が岡本様とお会いしたのは、井筒與兵衛氏と本研究所の初代代表理事の所 功先生が関わられた『京都の御大礼』展と、その前後のイベントからで、その後、令和の代替わりに際してもさまざまなご教示をいただいてきました。
是非とも、その知識を社会に知ってもらうだけでなく、後世にも伝えたいと思い、勤務先の京都産業大学のむすびわざ館ギャラリーで企画展「女子宮廷装束の華」が開催された際には、公演「女子宮廷装束~十二単の着装実演」と題して、講演と着装実演をお願いするだけでなく、その講演内容を京都産業大学日本文化研究所の所報『あふひ』29号に掲載していただきました。これは国会図書館や各地の大学図書館が所蔵しておりますので、関心がある方はご覧いただければと思います。
また京都宮廷文化研究所では、公式サイトに「宮廷文化サロン」として様々な宮廷文化についてのキーワードについて解説を書いていただき、またyoutubeの井筒企画公式チャンネルでは京都の三大祭に関する講義の動画を配信しており、また京都市の「双京構想」でも衣紋の立場から京都への思いをお話しになっています。
「京の祭りと京都御所」②
「京の祭りと京都御所」②
「京の祭りと京都御所」④
「双京構想」
これにより、一部ではありますが、岡本様の知識が今後も後世に継承されていくと信じています。
岡本様が京都産業大学の講演の際に、質疑応答で「衣紋に興味のある方はぜひ実践を……知識は文献とかいろんなもので得られますけど、実践だけは……やっぱり数をやらなければ上手にならないと思います。得手・不得手もありますけど。指の動き、これが一番大事です。……」と話されたことが印象に残っています。
私は文献を中心とした研究者ですが、岡本様が言われたような、実践を伴う学びの道が続いていくことを願ってやみません。そしてその際に、既に述べたような岡本様が残されたものが参考になれば幸いです。

