右隻(『東山天皇記』より)
- 東山天皇
冕冠・袞衣(袞冕十二章)、牙笏? - 関白 一條冬経
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲:白臥蝶丸、冠の纓に縦菱文あり
以下、礼服を着用。
- 内辨 近衛基煕(左大臣)
- 外辨 宣命使 勧修寺経敬(源大納言)・万里小路淳房(大納言)・東園基量(大納言)・廣幡豊忠(新源中納言)・裏松意光宰相(参議)
- 擬侍従 西洞院時成・油小路隆眞
- 典儀(少納言) 船橋相起(弘賢)
- 賛者 藤井宗弘・橘定軌
- 圖書 藤原定頼・藤原光氏
- 主殿 伴守史・佐伯職泰
礼服の者は、太刀を下げて帯びていません。殿上にいる者で玉佩(三位以上)を着けていない者がいます。
親王代は、玉佩と短綬を付けていません。
- 内記(正六位)中原定清
束帯縫腋袍(縹袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲:白無文 - 次将 左近衛中将(従四位)及び少将(正五位)
束帯闕腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、挂甲の下に肩当がない、靴 - 供(随身)
褐衣(蛮絵あり)、巻纓冠?(細纓冠)、弓・壺胡簶、尻鞘(あざらしの皮)
平緒の垂があるのが疑問 - 大史(正六位)
束帯縫腋袍(黒袍)?(縹袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹) - 大外記(正六位)
大史と同じ - 執物諸司
束帯縫腋袍(縹袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲:白臥蝶丸?(白無文)、冠の纓が有文になっている(無文)と思われる - 兵庫寮 頭(従五位)
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲:白臥蝶丸?(白無文) - 大将代(従三位) 長谷忠能・桜井兼供
束帯闕腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、平胡簶 - 中将代(従四位)
束帯闕腋袍(緋袍(黒袍))、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲:白臥蝶丸?(白無文)、壺胡簶? 浅沓ではなく靴と思われる - 少将代(正五位)
束帯闕腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲:白臥蝶丸?(白無文)、壺胡簶? 浅沓ではなく靴と思われる - 鼓師・鉦師 近衛舎人が担当
褐衣、巻纓冠?(細纓冠) - 鼓・鉦の諸役
雑色 平礼烏帽子 - 中務省 卿(正四位) 親王がなる場合あり、四品以上
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲:白臥蝶丸 - 内舎人(中務省) 随身
束帯闕腋袍(縹袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、巻纓冠・緌、弓、壺胡簶 - 佐伯氏・伴氏(大伴) ※奈良朝は豪族
束帯闕腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲:白臥蝶丸?(白無文) - 左衛門尉 大尉(従六位)
束帯縫腋袍(闕腋袍)(黒袍(縹袍))、垂纓冠(巻纓冠)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲:白臥蝶丸?(白無文)纔着、平胡簶
- 右衛門尉 少尉(正七位)
束帯縫腋袍(闕腋袍)(緋袍(縹袍))、垂纓冠(巻纓冠)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲:白臥蝶丸?(白無文)纔着、平胡簶
実際は、武官なので、闕腋袍であろうと思われ、『東山天皇紀』には弓矢等の記載があります。
※(赤字)は『東山天皇紀』に記すもの。
貞享4年(1687)4月28日時点
- 東山天皇(1675〜1710)
13歳。 - 一條冬経(兼輝)(1652〜1705)
この時、摂政、36歳。極官は従一位、関白。 - 近衛基煕(1648〜1722)
この時、左大臣、40歳。極官は従一位、関白・太政大臣。 - 勧修寺経敬(源大納言)(1645〜1709)
43歳。初名は経慶。極官は従一位、権大納言。 - 万里小路淳房(1653〜1709)
この時、大納言、36歳。極官は従一位、権大納言。 - 東園基量(大納言)(1653〜1710)
この時、中納言、35歳。極官は正二位、権中納言。 - 廣幡豊忠(新源中納言)(1666〜1737)
この時、22歳。極官は従一位、内大臣。 - 裏松意光宰相(1652〜1707)
この時、参議、36歳。極官は正二位、権中納言。 - 西洞院時成(1645〜1724)
この時、参議、43歳。極官は正二位、権大納言。 - 油小路隆眞(1660〜1729)
この時、参議、28歳。極官は正二位、権大納言・民部卿。 - 船橋相起(弘賢)(1647〜1714)
この時、41歳。極官は正二位。 - 長谷忠能(1649〜1687)
この時、39歳。極官は従四位上、兵部権大輔。 - 桜井兼供(1629〜1702)
この時、59歳。極官は正三位。
左隻
貞享4年(1687)3月26日の霊元上皇の御譲位行列の様子を描いたものです。
殿上人
- 伏原宣通
この時、蔵人、21歳。極官は正二位。
青色袍(麹塵)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、垂纓冠 - 藤原(山井)兼仍
この時、16歳。極官は正三位、治部卿、非参議。
束帯縫腋袍(縹袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、巻纓冠、太刀、平緒 - 滋野井兼成(公澄)
この時、侍従、16歳。極官は正二位、権大納言。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 橋本實松
この時、15歳。極官は従二位、権中納言。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 藤波徳忠
この時、17歳。極官は従二位、大副(大中臣)。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 勧修寺尹隆
この時、11歳? 極官は正三位、権中納言。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 船橋相起(弘賢)
この時、39歳。極官は正二位。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 烏丸宣定
この時、15歳。極官は正四位上、左中弁、蔵人頭。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 鷲尾隆長
この時、14歳。極官は正二位、権大納言。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 甘露寺輔長
この時、12歳? 極官は正四位上、右大弁、蔵人頭。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 裏辻季盛
この時、24歳。極官は従四位下、右少将。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 葉室頼重
この時、18歳。極官は従二位、権中納言。
束帯縫腋袍(緋袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 正親町三条公光(公統)朝臣
この時、四位、19歳。極官は正二位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 桜井兼供朝臣
この時、28歳。極官は正三位。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 阿野實字朝臣
この時、23歳。極官は従四位上、左中将。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 風早公前(公長)朝臣
この時、従四位下、右少将、21歳。極官は従二位、参議。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 四條隆安朝臣
この時、従四位下、左中将、24歳。極官は従三位、権中納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 花園公晴朝臣
この時、25歳。極官は正二位、権中納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 石井行豊朝臣
この時、34歳。極官は従二位、権中納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 冷泉為経(頼廣・為直)朝臣
この時、33歳。極官は正二位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 平松時方朝臣
この時、36歳。極官は従二位、権中納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 園基勝朝臣
この時、24歳。極官は従二位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠、太刀、平緒 - 坊城(小川坊城)俊方朝臣
この時、従四位上、左大弁、25歳。極官は従二位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織?(無文平絹)、下襲の裾:白臥蝶丸(白無文)、垂纓冠 - 卜部(吉田)兼連朝臣(兼敬)(1653〜1732)
極官は正二位、非参議。
公卿
- 正親町三條實久朝臣
この時、参議、32歳。極官は正三位、権中納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠 - 裏松宰相意光
この時、従三位、参議、36歳。極官は正二位、権中納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 西洞院時成
この時、右衛門督、参議、43歳。極官は正二位、権中納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 花山院持重(持房、持實)
この時、従三位、新中納言、18歳。極官は従二位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 廣幡豊忠
この時、新源中納言、22歳。極官は従一位、内大臣。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠 - 姉小路公量
この時、中納言、37歳。極官は正二位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 正親町公通
この時、中納言、35歳。極官は従一位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 醍醐冬基
この時、大納言、40歳。極官は正二位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 万里小路淳房
この時、大納言、36歳。極官は従一位、権大納言。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 九條輔實
この時、左大将、大納言、19歳。極官は従一位、摂政、関白。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 鷹司兼熈
この時、右大臣、29歳。極官は従一位、関白。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 今出川伊季
この時、大納言、28歳。極官は正二位、内大臣。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 一條兼輝(冬経)
この時、摂政、36歳。極官は従一位、摂政、関白。
束帯縫腋袍(黒袍)、表袴:窠に霰浮織、下襲の裾:白臥蝶丸、垂纓冠、太刀、平緒 - 霊元上皇
この時、34歳。
直衣:白浮線綾丸文(臥蝶丸)固地綾、裏二藍、指貫:紫浅黄藤丸文
貞享4年(1687)3月26日
殿上人
- 伏原宣通(1667〜1741)
この時、蔵人。極官は正二位、蔵人。 - 藤原(山井)兼仍(1671〜1719)
極官は正三位、治部卿。 - 滋野井兼成(公澄)(1671〜1756)
極官は正二位、権大納言。 - 橋本實松(1672〜1732)
極官は従二位、権中納言。 - 藤波徳忠(1670〜1727)
極官は従二位、大副(大中臣)。 - 勧修寺尹隆(1676〜1722)
極官は正三位、権中納言。 - 船橋相起(弘賢)(1648〜1714)
極官は正二位。 - 烏丸宣定(1672〜1692)
極官は従四位上、左中弁、蔵人頭。 - 鷲尾隆長(1673〜1736)
極官は正二位、権大納言。 - 甘露寺輔長(1675〜1695)
極官は正四位上、右大弁、蔵人頭。 - 裏辻季盛(1664〜1688)
極官は従四位下、右少将。 - 葉室頼重(1669〜1705)
極官は従二位、権中納言。 - 正親町三条公光(公統)朝臣(1668〜1719)
この時、四位。極官は正二位、権大納言。 - 桜井兼供朝臣(1659〜1730)
極官は正三位。 - 阿野實字朝臣(1665〜1690)
極官は従四位上、左中将。 - 風早公前(公長)朝臣(1666〜1723)
極官は従二位、参議。 - 四條隆安朝臣(1663〜1720)
極官は従三位、権中納言。 - 花園公晴朝臣(1662〜1736)
極官は正二位、権中納言。 - 石井行豊朝臣(1653〜1713)
極官は従二位、権中納言。 - 冷泉為経(頼廣・為直)朝臣(1654〜1722)
極官は正二位、権大納言。 - 平松時方朝臣(1651〜1710)
極官は従二位、権中納言。 - 園基勝朝臣(1663〜1738)
極官は従二位、権大納言。 - 坊城(小川坊城)俊方朝臣(1662〜1688出奔?)
極官は従三位、左大弁、参議。
公卿
- 正親町三條實久朝臣(1656〜1695)
極官は正三位、権中納言。 - 裏松宰相意光(1652〜1707)
この時、参議。極官は正二位、権中納言。 - 西洞院時成(1645〜1724)
この時、右衛門督。極官は正二位、権中納言。 - 花山院持房(持實)(1670〜1728)
この時、新中納言。極官は従二位。 - 廣幡豊忠(1666〜1737)
この時、新源中納言。極官は従一位、内大臣。 - 姉小路公量(1651〜1723)
この時、中納言。極官は正二位、権大納言。 - 正親町公通(1653〜1733)
この時、中納言。極官は従一位、権大納言。 - 醍醐冬基(1643〜1697)
この時、大納言。極官は正二位、権大納言。 - 万里小路淳房(1653〜1709)
この時、大納言。極官は従一位、権大納言。 - 九條輔實(1669〜1730)
この時、左大将。極官は従一位、関白。 - 鷹司兼熈(1660〜1725)
この時、右大臣。極官は従一位、関白。 - 廳官(正直)
院の雑事を行う? - 今出川伊季(1660〜1709)
この時、大納言。極官は正二位、内大臣。 - 章成(判官)
検非違使の大・少将 - 一條兼輝(冬経)(1652〜1705)
この時、摂政。極官は従一位、関白。
『院中番衆日記』との違い
左隻に描かれた行列と、『院中番衆日記』とは登場する人物が異なります。
『院中番衆日記』では、以下のような並びとなっています。
諸大夫・諸大夫・諸大夫、随身・随身、九条左大将、随身、番頭・番頭、沓持、笠持・笠持・笠持、諸大夫・諸大夫、鷹司右大臣、随身・番頭・随身、沓持、笠持・笠持・笠持、御随身(藤原武濟・・下毛野武有・身人部清昌・源武矩・身人部清定・秦武重)、童子・童子・童子・童子、舎人・舎人・舎人・舎人、御車、御車副・御車副・御車副・御車副・御車副・御車副・御車副・御車副、桟持・榻持・掛杖持・雨皮持、下﨟随身(秦武和・藤原信友・秦武貞・身人部清高・身人部重長・下毛野武辰)、廳官(正直)