袖の取り方(取り流し)

袍の袖の取り方

袍の袖の取り方は、まず右袖から始めます。後衣紋者が(はた)(そで)と奥袖の縫目より、少し外側の袍のたたみ線に(はた)(そで)の端(外側)を合わせて右手で摘み、袍を中側に返して摘まんだ所に単の袖のたたみ線の端を合わせます。次に左手で袍と単を下へ引っ張って形を整えます(この時、袍の下端と単の下端が合うようにすること)。そしてお方にたたみ線の合わさった所を持っていただきます。
次に、左袖も同じように行います。これを「取り流し」といいます。

令和の御大礼の袖の取り方

御大礼の折、袖は「取り流し」とします。令和の御大礼で考案した袖の取り方は、本式に取ったように見えるようにしたものです。

  1. (1)

    袍の袖の取り方は、まず右袖から始めます。後衣紋者は、お方の右方に立ち、両手を単の袖の内に入れて、手を左右に伸ばしてさばき、(ひとえ)下襲(したがさね)、袍の袖を揃え(この時、袖の中を覗かないこと)、その後、左手を単の肩の所まで差込み、右手で石帯を押さえながら上方に少し上げます。
    次に両手の平を合わせて、そのまま(はた)(そで)の縫目の付近まで少し外側に引き下げます。肩山・袖山と肩線(畳み目)が平行になるようにします。摘む位置は(はた)(そで)の畳み目の線より手一幅(一咫約18㎝ほど外側)で、袖の内部の左手に外の右手の四指(拇指(親指)を除く)を挟みます。(1)

  2. (2)

    右手の四指及び拇指(親指)にて摘んで左手を放し、同時に左手の拇指(親指)と四指にて装束の折れ線のところまで、斜め下にしごき摘みます。この時に耳((ひだ))ができます(右手で摘んだ所と左手の装束の折れ線による)
    次に右手を放して、右手の食指(人差指)を左手の四指と拇指(親指)との間に入れ、拇指(親指)と中指で挟みます。(2)

  3. (3)

    左手を外に抜き、左手で袖口の所を袖口の縁なりに内に二つに折り、折った端を右の拇指(親指)と食指(人差指)との間に挟みます。(3)

  4. (4)

    左手を開き、右手で摘んだ所を頂点にして三角を作ります。(4)

  5. (5)

    先程作った(ひだ)の所に、袍・下襲(したがさね)(ひとえ)の袖口を合わせます(折りたたみ線)。(5)

  6. (6)

    この時(ひだ)(耳)が二つできますが、一つは袖を整える時に直します。
    左肘を上げ、持った耳を縦一文字にするように心がけて三角を崩さず、お方の右手で持っていただきます。(6)
    (お方の手は下から回す感じ)

  7. (7)

    左手は袖の内にて(ひだ)(耳)の所を手前にひるがえし、すぐに左手を離して左手で袖の内側よりしごき下げ、(はと)(むね)(左手を袖の中に入れて袖を斜め前方に突いて膨らませる)を作ります。(7)

    ※この時、右手で袖口の下を持ちます。同時に、左足を前に出し、右手で突き出した袖の所を右手四指で下方に撫でます。左手は同時に袖口より外に抜いて袖口の下を持ち、同時に左足を引いてその位置に右足を出します。

  8. (8)

    左手は袖口の下を摘み、右手で袖口の下から上の方に撫でます。(8)
    (袖の端が内側になる貝の口のように)

  9. (9)

    次に、右手で襞のもと(お方の手首のところ)を摘み、左手で袖全体及び襞を整えます。そして、(ひとえ)下襲(したがさね)・袍の袖先に整え、肩のところなど全体を整えます。(9)

これが一連の動作になります。(令和の御大礼では(ひとえ)下襲(したがさね)・袍の袖先を揃えて糸で留めます)
お方の後ろを通り、今度は左袖を右と同じように行います。右左は逆になります。